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船のコーティングは必要?内装コーティングについてもご紹介!

公開日:2023/11/16  

船

一般的な船の寿命はどのくらいかご存じですか?漁船の耐用年数は6年から12年と定められています。建造費用が高額な大型船は、より長い期間メンテナンスしながら就航しています。船の寿命を長く持たせるために役立つのが船の塗装です。今回はコーティングが必要な理由や船底塗装の種類、目安、手順、内装のコーティングについて解説します。

船のコーティングが必要な理由

船は長期間海水に浸かっているため、定期的なメンテナンスが必要です。船のメンテナンスといえば、エンジンや舵など、船の操舵に関わる部分をイメージするかもしれません。それらと同程度に重要なのが船底のコーティング(塗装)です。

船底塗装が必要な理由は2つあります。1つ目の理由は付着物が船底に付くのを防ぐためです。主な付着物は以下のとおりです。

・スライム
・フジツボ
・貝類
・藻類
・コケ類

スライムとは、船底に付着する微生物の塊です。大量の微生物がドロドロの状態で船底にこびりついています。

フジツボは甲殻類の一種です。通常は岩場でよく見かける生き物ですが、船舶の底にも付着します。一度付着すると中々引きはがすことができず、船の燃費悪化や故障の原因となります。長期間停泊していたり、塗装が劣化しているとフジツボが付着しやすくなります。

フジツボ以外にも、ムラサキガイなどの貝類が付着することがあります。貝類が密集して付着すると、フジツボと同じく船の燃費悪化の原因となります。

また、帆船時代から船にとっての厄介者だった藻類も船底に付着する代表的な生物です。アオサやホンダワラ、ヒジキなどがよく付着しますが、船底に付着するだけではなくスクリューに絡まることもあるので非常に困ります。

こうした付着物が船底につくのを防ぐため、船底塗料が役立ちます。

2つ目の理由はサビやカビの防止です。海水が真水に比べてサビやすいことはよく知られています。海水中では大気中よりもはるかに速い速度でサビが進行します。何の措置も施さなければ、海水を浴びて2〜3日後には赤サビが発生してしまうでしょう。

一年中海水にふれている船底をサビから守るため、船底に赤い塗料を塗ります。ほとんどの船の船底が赤いのは、銅を含むサビ止め塗料を塗っているからです。サビ止め塗料に含まれる亜酸化銅は海洋生物が嫌う成分ですので、付着物の防止にも役立ちます。

船底塗装の種類と成分

船底に塗る塗料は、水和分解型(自己崩壊型)と加水分解型の2種類に分けられます。

水和分解型の塗料は、海水になじみやすい塗料のことです。汚れの付着を防ぐ防汚剤が少しずつ溶け出し、塗膜の表面に水和層を形成します。次に紹介する加水分解型よりも低価格であることが多いですが、塗膜が均等に剥がれず、表面にでこぼこができてしまうという弱点があります。

塗膜がでこぼこになると、船のスピードが落ちたり、燃費が落ちたり、フジツボなどが付着しやすくなったりします。

加水分解型は、海水の弱アルカリ成分に反応して塗膜の表面が溶けていきます。表面が平均的に溶けるため、でこぼこが生じやすいという特徴があります。長期にわたって高い防汚機能を保つことから、現在主流のコーティングとして活躍しています。

表面が滑らかであるため、船の速度や燃費への影響が小さく、静物が付着しにくいというメリットがあります。

コーティングする塗料に含まれる主な成分は3種類です。

1つ目が先ほど紹介した亜酸化銅です。高い防汚性能を持っています。銅の酸化でくすんだ赤色になりやすいというデメリットもあります。アルミ艇やプロペラ、シャフトといった金属に亜酸化銅を含む塗料を塗ると、電蝕作用により金属が傷んでしまいます。

2つ目がシリル樹脂系の塗料です。大型商戦などで使用の実績があり、従来の樹脂系塗料よりも防汚性能が長続きします。

3つ目が有機錫系の塗料です。発色がよいことや電蝕を起こさないこと、長期間使用できることなどから広く用いられてきた歴史があります。しかし、近年は生態系に悪影響を与える毒性があることから、入手できなくなりました。

船底塗装時期の目安

船底塗装は船を陸にあげて行わなければならないため、かなりの手間がかかります。どのくらいの頻度で塗装すればよいのでしょうか。理想を言えば、年に2回の船底塗装を行うのがベストです。

実施する時期は、水温が高くなる前の5月と水温が下がってきた10月です。フジツボに代表される海洋生物は海水が高温になると成長・繁殖しやすくなります。5月に塗装することで、付着を抑制できます。また、10月に塗装することでその年についた付着物を落とし、船の機能を回復することができるでしょう。

船底塗装の手順

船底塗装の重要性や、塗装を行う時期について理解できました。ここからは、船底塗装の手順を紹介します。塗装の手順は以下のとおりです。

・洗浄する
・ケレン作業をする
・塗料を塗る
・仕上げをする

塗料を塗る前に、船底についた付着物をきれいに取り除かなければなりません。フジツボや貝類はかなり強くくっついているので、高圧洗浄機できれいに取り除きましょう。水圧の設定は最大にしておくとよいでしょう。

高圧洗浄機で取れない汚れは、ケレン作業でおとします。ケレンとは鉄についたサビを落とす作業のことで、塗装前に必ず行わなければならない作業です。サビが残ったまま塗料を塗っても、塗料の密着性や付着性が損なわれてしまうため、はがれやすくなります。

塗装する際は、喫水線にそってマスキングテープを張ります。喫水線とは、船が水に浮かんだ時に、船隊と水面が交わる線のことです。喫水線より下が水に接する部分となります。

船隊塗料を塗る際は、シンナーで薄めず原液で塗ります。冬場は塗料が固まって塗りにくくなるため、シンナーで薄めながら塗ります。ローラーで広い面を、刷毛で狭い部分を塗ることで、すき間なく塗装できます。

1度目の塗装が終了したら、いったん乾かします。塗装が乾いたのを確認し、2回目の塗装を行います。塗装が完了するまでの時間は、夏場で4〜5時間、春や秋で8〜10時間、冬で10〜15時間程度です。水流による圧力が加わりやすい喫水線付近は、塗増ししたほうがよいでしょう。

全ての作業が終わったことを確認したら、マスキングテープをはがして作業を終了させます。塗装終了後、夏場は4時間以上、冬場であれば12時間以上乾かしてから海に戻しましょう。

内装のコーティング

船にはさまざまなものが設置されています。それらの設備を美しい状態に保つためのコーティングも重要です。

内装に使われている素材としては、プラスチックや布、レザーなどがあります。それらの素材を傷めないコーティング剤を選ばなければなりません。

たとえば、布などのファブリック素材のコーティングは、表面の汚れや変色を防ぎ、ドリンクなどをこぼした時にできる汚れにも効果を発揮します。そして、汚れの浸透を防ぎます。

クルーズ船などの大型船には高級感を演出するためのレザーシートなどが設置されています。レザーは扱いが難しい素材ですが、撥水性能をもつコーティングを使用することで汚れを防ぎます。

まとめ

今回は、船のコーティングと船内設備のコーティングについて解説してきました。船のコーティングといえば塗装のことを意味します。海洋生物の付着や海水による腐食を防ぐため、定期的に船底塗装を行わなければなりません。理想は年に2回ですが、最低でも年に1回の塗装が必要です。

船底塗装を行わなかった場合、船底の付着物やサビなどによって船の性能や耐久性が低下してしまいます。それを避けるには、防汚作用をもつ塗料を定期的に塗る必要があります。

また、船内に設置されている設備を美しく維持するため、内装のコーティングも欠かせません。素材にあったコーティング剤でメンテナンスすることで、長期にわたって美しい状態を維持することができるでしょう。

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